黒の公爵です。

へスターはバロービー・ホールで公爵夫人の話し相手(コンパニオン)をしている。
地味でもてない彼女には、偏屈な夫人の孤独が痛いほどわかる。
その日は、夫人が目の敵にしている人物が帰還する予定だった。
屋敷の主で夫人の継息子、エイドリアンだ。
“黒の公爵”とあだ名される彼の行く先々ではスキャンダラスな出来事が次々に巻き起こるらしい。
噂の公爵に会えると思うと、へスターは少しわくわくした。
真っ青な顔で現れた公爵は、女性を巡る決闘で負傷したという。
男性が自分のために命懸けで戦う――まるで夢のような話ね。
だが続いて、夫人の溺愛する息子エリオットも帰還すると、へスターにとって、まさに夢のような日々が始まったのだった。
リンダはかつて人生を謳歌していた。
美しい容貌と、努力して手に入れたやりがいのある仕事。
そしてある男性と恋に落ち……事故に遭ってすべてを失ったのだ。
十年間眠り続け、奇跡的に意識を回復したリンダは、恋人の兄だった大富豪ライアン・フォーチュンが、エメットという男性に彼女の世話を託して世を去ったことを知る。
だがエメットは、初めて会うなりリンダに冷たく言い放った。
ライアンとの約束を果たすためだけに僕はここにいる、と。
同情なんてごめんだわ。
私は一人でも生きていける。
そう思った次の瞬間、リンダは言葉を失った。
まさか! エメットがこの家に住み込むですって?これって悪夢以外の何ものでもないわ。
スーザンはあまりの惨状に言葉を失った。
嵐の夜、ベッドで眠っていたら、いきなり大木が屋根を突き破って倒れ込んできたのだ。
ドアも窓もふさがれて、脱出できない。
そのとき、暗闇のなか一人の男が現れ、彼女を抱きかかえると緊迫した声できいた。
「けがはないかい?」無線機で外の人間と応答する彼の喉元が、目の前に見える。
「大丈夫よ」そう答えた直後、目もくらむ稲光が部屋を貫き、スーザンは呆然となった。
ふるいつきたくなるほどいい男だわ。
まさか、こんなことになるなんて。
エリザベスの罪のない嘘がスキャンダルを引き起こし、ウォーリック男爵レイナーを望まぬ結婚に縛りつけてしまった。
私はただ、生まれて初めて心惹かれた人をお別れの前にもう少し知りたかっただけなのに……。
国王のお膝元ウィンザーを離れてウォーリック城に迎えられ、女主人となっても、妻を見るレイナーの目は冷ややかなままだ。
だが、エリザベスは意志の強いクレイバーン家の女だった。
くよくよしていても始まらない。
彼に心を開かせてみせるわ。
不実な財産狙い(フオーチュン・ハンター)――何も知らない人々はウィルをそう呼ぶ。
顔がいいだけの放蕩者と後ろ指をさされても、ウィルが裕福な女性を口説くのには、やむにやまれぬ事情があった。
何とかこぎつけた婚約が破談となり、意気消沈していたところにレベッカという年若き資産家の女性が訪ねてくる。
彼女はギリシア彫刻のような近寄りがたいほどの美貌の持ち主。
淑女にあるまじきことに、レベッカは人払いをして、ウィルと部屋で二人きりになると、驚くべき提案をしたのだった。
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